【7月号】所長丹のコラム配信
まえがき:所長丹の戯言

みなさまこんにちは。司法書士・行政書士・土地家屋調査士の丹です。
今月から毎月情報誌をお送りすることといたしました。
理由は特にございませんが、この仕事をやっているとみなさまに伝えたいことがたくさん出てくるのです。
もしかすると「また法律の話か」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。ただ、実際に相談を受けていくと「これやっておいてくれればよかったのに…」というものがたくさんあるのです。
病気は症状が出るから病院に行くわけですが、法律問題は表面化しないですよね。
表には出ていないので誰も気が付かないけれど、あるとき突然爆発する爆弾のようなイメージです。
火がつく前に処理してしまえば、爆発することなんてないんですけどね。しかし、その爆弾がどこに隠れているかわからない…。
手遅れになる前にみなさまの「気付き」として、このブログを配信していきますので、どうか今後もブロックされることなく、ちらっとご覧いただき、役立てていってくだされば、幸いでございます。
夏の帰省前に確認したい「実家の名義」と登記のこと
夏休みやお盆が近づくと、実家に帰省したり、親族と顔を合わせたりする機会が増えます。
普段はなかなか話しにくい「実家のこと」「相続のこと」も、家族が集まる時期だからこそ、少しだけ確認しておくと安心です。
特に最近は、不動産に関する登記制度が大きく変わっています。
「実家の名義が亡くなった親のままになっている」
「昔の住所のまま登記されている」
「増築した部分や解体した建物の登記がそのままになっている」
このようなお悩みは、決して珍しくありません。
今回は、夏の帰省前に確認しておきたい実家の名義と、土地・建物の登記のポイントを、一般の方向けにわかりやすく整理します。
実家の名義が亡くなった方のままになっていませんか
まず確認したいのは、不動産の名義です。
土地や建物の名義は、法務局で管理されている登記記録に記載されています。
相続が発生しても、不動産の名義が自動的に相続人へ変わるわけではありません。
亡くなった方の名義のままになっている場合は、相続登記、つまり相続による不動産の名義変更が必要になります。
相続登記は、令和6年4月1日から義務化されています。
相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を申請する必要があります(不動産登記法76条の2第1項)。
正当な理由なく申請を怠った場合、10万円以下の過料の対象となる可能性があります(不動産登記法164条1項)。
また、令和6年4月1日より前に発生した相続についても、名義変更が済んでいない場合は義務化の対象です。
この場合、原則として令和9年3月31日までに対応が必要とされています。
「ずいぶん前の相続だから関係ない」と思っていたケースでも、一度確認してみる価値があります。
住所変更登記も見落としやすいポイントです
実家や土地の名義がご自身になっている場合でも、もう一つ確認したい点があります。
それが、登記上の住所や氏名が現在の内容と合っているかどうかです。
たとえば、不動産を購入した後に引っ越しをした、結婚等で氏名が変わった、という場合でも、登記記録は自動的には変更されません。
令和8年4月1日からは、所有権の登記名義人の住所・氏名・名称に変更があった場合、変更日から2年以内に変更登記を申請することが義務化されています(不動産登記法76条の5)。
正当な理由なく義務に違反した場合、5万円以下の過料の対象となる可能性があります(不動産登記法164条2項)。
相続登記ほど知られていない制度ですが、今後、不動産を売却する、贈与する、担保に入れる、相続手続をする、という場面で住所の不一致が問題になることがあります。
そのため、早くやった方がいいですよ、というのが今までのご説明でしたが、本年4月からはそれが義務になったわけです。
帰省のタイミングで、登記識別情報や権利証、法務局で取得する登記事項証明書などを確認してみるのもよいでしょう。
建物の現況と登記が一致しているかも確認しましょう
実家については、「名義」だけでなく、建物の登記内容と実際の状態が合っているかも大切です。
たとえば、次のようなケースはありませんか。
・昔、部屋やサンルームを増築した
・車庫や物置、離れを建てた
・建物の一部を取り壊した
・建物を解体したのに、登記だけ残っている
・店舗や事務所として使っていた部分を住宅に戻した
建物の床面積、構造、種類などに変更があった場合には、建物表題部変更登記が必要になることがあります。
また、建物を取り壊した場合には、建物滅失登記が必要です(不動産登記法57条)。
普段生活しているとあまり意識しない部分ですが、相続や売却の場面で初めて「登記と現況が違う」と分かることがあります。
その場合、手続の前提として調査や登記の整理が必要になり、予定より時間がかかることもあります。
境界標や測量図も、帰省時に確認できることがあります
土地については、境界標や測量図の有無も確認しておくと安心です。
たとえば、実家の敷地の角に境界標があるか、ブロック塀やフェンスが隣地との境目にどのように設置されているか、古い測量図や境界確認書が保管されているか、といった点です。
ただし、境界に関する問題は、登記上の「筆界」と、所有権の及ぶ範囲である「所有権界」が関係することもあり、内容によっては慎重な確認が必要です。
隣地との認識に違いがある場合や紛争性がある場合には、弁護士等との連携が必要になることもあります。
まずは、現地の状況や手元にある資料を確認しておくだけでも、将来の相続や売却の準備として役立ちます。
空き家になる前に、家族で話しておきたいこと
実家の相続では、「誰が住むのか」「誰が管理するのか」「売却するのか」「残すのか」が決まらないまま、時間だけが過ぎてしまうことがあります。
家は、人が住まなくなると急に傷みやすくなります。
庭木の管理、雨漏り、近隣への影響、固定資産税、火災保険、郵便物の確認など、所有者や相続人が対応すべきことは意外と多いものです。
すぐに売却や解体を決める必要はありません。
ただ、将来的にどうするのかを家族で共有しておくことは大切です。
親御さんが元気なうちであれば、本人の希望を聞くこともできます。
「この家をどうしたいか」
「誰に引き継いでほしいか」
「必要な書類はどこにあるか」
こうした話は、相続が発生してからよりも、生前のほうが穏やかに進めやすいことがあります。
サンシアスでできるサポート
サンシアスでは、司法書士・行政書士・土地家屋調査士の事務所として、相続登記だけでなく、相続手続全体の流れや不動産の状況を整理しながら進めるサポートを行っています。
相続では、戸籍収集、相続人調査、遺産分割協議書の作成、不動産の名義変更、預貯金の解約、各種書類の整理など、やることが多くなりがちです。
ご家族の中で代表者の方だけに負担が集中してしまうこともあります。
そのような場合に役立つのが、サンシアスの相続マイページです。
手続の進捗や必要書類を確認しやすくすることで、「今どこまで進んでいるのか」「次に何をすればよいのか」を把握しやすくなります。
また、相続手続をまとめて任せたい方には、遺産整理丸ごとサポートもご案内しています。
不動産の名義変更だけでなく、預貯金や各種財産の手続も含めて整理したい場合に、全体像を確認しながら進めることができます。
建物の登記や境界、測量に関するご相談については、不動産の所在地や内容によって対応方法が異なります。
まずは資料や不動産の所在地を確認し、対応可能な範囲をご案内します。
遠方の不動産については、必要に応じて物件所在地の土地家屋調査士への相談をご案内することもあります。
なお、税務判断が必要な場合は税理士、相続人間で紛争性がある場合は弁護士、不動産の売却や活用を検討する場合は不動産会社など、必要に応じて他の専門家とも連携しながら進めることが大切です。
まとめ
夏の帰省前は、実家や相続について家族で話すよいきっかけになります。
確認しておきたいポイントは、次の4つです。
・実家の名義が亡くなった方のままになっていないか
・登記上の住所や氏名が現在の内容と合っているか
・建物の増築・解体・未登記部分など、登記と現況に違いがないか
・空き家になった場合の管理や今後の方針を家族で共有できているか
すべてを一度に決める必要はありません。
まずは、書類の場所を確認する、固定資産税の通知書を見る、境界標や古い測量図の有無を確認する、家族で「この家をどうするか」を話してみる。
その一歩だけでも、将来の手続は進めやすくなります。
実家の名義や相続手続、土地・建物の登記について気になることがありましたら、サンシアスまでお気軽にご相談ください。
ご家族の状況に合わせて、必要な手続と進め方を一緒に整理いたします。
この記事を担当した司法書士

司法書士サンシアス
代表
丹 茂孝
- 保有資格
司法書士 行政書士 土地家屋調査士
神奈川県司法書士会登録第1426号
簡裁訴訟代理権認定番号第601465号
神奈川県行政書士会登録登録番号第16090386号、会員番号5077号
神奈川県土地家屋調査士会登録第3030号
公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート会員
一般社団法人家族信託普及協会会員- 専門分野
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不動産登記全般、相続全般
- 経歴
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神奈川県司法書士会所属。平成18年度に司法書士試験に合格し、平成20年に神奈川司法書士会に登録。平成21年に行政書士試験合格。平成27年に土地家屋調査士試験合格。平成28年に行政書士と土地家屋調査士も登録。地域では数少ない、司法書士と行政書士と土地家屋調査士のトリプルライセンスを保有している相続の専門家として、横浜市内の相続の相談に対応している。
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